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2007/12/14

忘れられたホロコースト、両国に付きまとう(National Post 07/12/13)

12月13日は南京事件70周年ということで、この日は事件関係の記事が多数発表されました。その中に当然、「南京の真実」に触れた記事もありましたが、数は少なく(今までに確認した限りで2点)、扱いも小さいです。その限られた記事の中から、今回はカナダのNational Post紙のものを取り上げます。

http://www.nationalpost.com/news/story.html?id=165132

同じカナダの新聞でも、以前、紹介したAsian Pacific Postがアジア関係の報道に特化した特殊な新聞であるのに対して、National Postはカナダを代表する全国紙といえます。

今日(12月13日)は忘れられたホロコースト、南京大虐殺から70周年を迎える。この出来事は、20世紀で最悪の大量殺戮の1つであり、今なお日中関係に悪影響を及ぼしている。

この日を記念して、30万人近い人々に敬意を示して建設された記念館が、再び開館する。中国によると、この30万人は大日本帝国軍による6週間に及ぶ残虐行為の狂乱の中、首をはねられ、燃やされ、銃剣で刺され、腹を裂かれ、生き埋めにされたという。

日本では、新国粋主義(ネオ・ナショナリズム)の過激派や政治的穏健派が事件の発生を否定して、この日を迎えようとしている。

南京の真実」と題する映画を製作中のドキュメンタリー映画監督、水島総は今週、「大虐殺の証拠は捏造されたものだ」と主張した。

世界で最大の発行部数をもつという全国紙、読売新聞でさえ、火曜日
(11日)に発表した社説で、中国人兵士の殺害が長引き、一般市民も巻き添えに殺されたことを「大虐殺」と呼ぶことは避けた。社説では「南京事件」という呼称が使われている。

社説は次のように記す。「日本軍が南京市内に潜伏する敗残兵を掃討する際に、処刑や民間人への暴行が多発したことは当時の記録や証言から明らかだろう。」

「だが、犠牲者は4万人程度とする説や、国際法に反する不法な殺人はわずかだったとする説などもある。」

むしろ、今日の厳粛な記念行事は、未だ癒えない傷の記憶を新たにするものとなる。

南京大虐殺は今なお、アジア最大の2大国の関係を刺激している。

日本はあいまいな言葉で、戦時中の振る舞いに対する謝罪を繰り返してきた。しかし、南京大虐殺をはじめとする残虐行為や(カナダ人を含む)捕虜虐待、細菌兵器の生体実験、アジア人女性を強制して性奴隷にしたことは、直接、取り上げていない。

6月に、元文部科学大臣が率いる日本の100人の国会議員が、中国で激怒を買った。日本の公文書館に残る文書によると、1937-38年の冬に南京では2万人しか殺害されていない、と主張したからである。

彼らは大虐殺の噂を捏造されたものとして斥け、これを、日本を貶めるために中国がもくろんだプロパガダンダだと断定した。

当時の日本の首相(9月に辞任)安倍晋三は、米国主導の東京裁判の正当性を認めようとせず、いっそうの物議を呼んだ。この裁判で初めて、南京で中国人兵士および一般市民15万人以上が殺害されたとする主張が出された。

安倍氏の祖父、岸信介元首相は戦犯容疑で4年近く投獄されたが、起訴はされなかった。

中国では、南京大虐殺の話題は共産党の目的に利用されてきた。というのは、大虐殺は共産党に、日本を撃退した功績を得、惨事を防げなかった蒋介石総統率いる国民党を非難する口実を、与えているからである。

南京をめぐり、くすぶり続ける議論はさらに、中国で反日暴動を煽っている。
(南京)事件に関する動画がYouTubeに投稿されて、人種差別むき出しの罵倒の応酬がインターネット上でわき起こることも、しばしばである。

日本のナショナリストによると、南京での大量処刑を写したとされる何千、何万枚もの写真は、改竄されたものだという。しかし、その一方で、この都市を襲った悪夢を裏付ける、否定できない証拠が残っている。

1937年12月13日に城壁で囲まれた、この町に突入した日本兵は、以後6週間、破壊、略奪、強姦、殺戮の限りを尽くした。

一般市民の中にまぎれ込んだ中国兵を捜索するという口実のもと、略奪や放火が行われ、何万人もの女性が強姦され、捕虜も一般市民も無差別に処刑された。

中国人男性が銃を突きつけられ、自分の母や娘を犯すようしいられた事例が、生存者により報告されている。日本兵は何万人もの女性を輪姦した。中国人男性は長い列を作って並ばせられて、処刑され、一まとめにして穴
(万人坑)に埋められた。

日本の当時の新聞は、誰が最も多く捕虜を処刑できるか競争する兵士がいたことを、伝えている。

若干の欧米人宣教師や実業家が占領中の南京に残り、赤十字の保護のもと安全区を宣言して、住民の保護に努めた。安全区は日本人の立ち入り禁止区域とされた。

この外国人たちが約25万人の命を救ったとされる。彼らはまた、日本人の残虐行為を非常に生々しく伝える記録を、残している。

大虐殺を写したフィルムを中国から密かに持ち出したキリスト教の宣教師ジョン・マギーは、日本兵が「見付け出した捕虜を全員、殺しただけでなく、おびただしい数の一般市民も、年齢を問わず殺した」と記している。

「大勢の人がウサギ狩りのように通りで射殺された」という。

アメリカ人宣教師ミニー・ヴォートリンは日記をつけており、次のように記している。「何千人の人が銃でなぎ倒され、銃剣で突かれたか、おそらく分からないだろう。というのも、たいていの場合、死体は石油をかけられ、燃やされてしまうから。」

南京の真実」は水島監督の言葉(「大虐殺の証拠は捏造されたものだ」)の引用付きで紹介されています。この言葉は、おそらく12月5日付(「今週」でないが)のIndependentの記事あたりから取ったものでしょう。

明らかに大虐殺があったという認識を前提にしており、新聞記事としては、大虐殺の内容をかなり詳しく記したものになっています。その一方で、「南京の真実」や読売新聞や「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」による、大虐殺はなかった、ないし大規模なものでなかったと主張する動きも、具体的に伝えています。

読売新聞の社説が「南京大虐殺」という用語を避け、「南京事件」 という表現を用いていることが、問題にされています。自分も「南京事件」という用語を使っていることから、弁解すると、この語は、南京で相当な規模の「大虐殺」があったことを認める日本の歴史学者も使っています。彼らの言い分によると、「大虐殺」では、殺害と併せて発生した略奪、放火、強姦、傷害も包括する呼称としては、不適切だそうです。

記事は一方で、日本の戦争犯罪に対する謝罪を不十分としながら、同時に、中国共産党が歴史を政治に利用しているとも指摘しており、中国の言い分に追従しているわけではありません。

カナダの報道を紹介したついでにいうと、アイリス・チャンを取り上げた映画「アイリス・チャン ザ・レイプ・オブ・南京」が13日夜、カナダでテレビ放映されるそうです。ちなみに、この記事の見出しにもなっている「忘れられたホロコースト」という表現は、チャンの著書の副題から取ったものでしょう。